2012年12月12日水曜日

サケの人工授精見学 -2

続いては、ふ化場敷地内にある専用の建物で、いよいよ人工授精です。
卵に精子をかけて人工授精させます。

次に、卵を真水で洗います。
常に流水にさらされている自然の状態と違い、卵に付着した精子が残っていると飼育槽の水が汚れる原因になるためです。
受精後、水に触れると浸透圧の違いにより卵が吸水して20%程度大きくなり、弾力が増します。卵が外圧から身を守る自然のシステムですね。
専用のピンセットでつまんでみると、思いのほか弾力に富んでいることがわかります。

水で洗い流したあとは、ピンセットで丁寧に死卵(しらん)を取り除きます。
手間のかかる作業です。写真で白くなっている卵が死卵です。


ふ化するまでは、建屋内の飼育槽で大切に飼育されます。
おびただしい量の卵です。

敷地内には、ひっそりとサケの魂を鎮める魚魂碑がたたずんでいました。
お酒が供えてあります。



こうして育てられ、放流された稚魚が再び広瀬川に帰ってくるのは、およそ4年後です。

※注意
サケは『水産資源保護法』によって保護され、一般の方は河川での捕獲が禁止されています。
川でサケを見つけても、そっと見守るだけにしてください。

サケの人工授精見学 -1

11月3日(土曜日)にサケの人工授精見学会が実施されました。

会場:広瀬名取川漁協郡山さけふ化場
仙台市太白区郡山字南上河原7番2号

広瀬川・名取川の合流地点の近くにありますが、なかなか分かりにくい場所にあります。私は今回が初めてです。
現場には、尚絅中学校から生徒さんが見学に来ていました。

サケ属には6種類の魚がいますが、このうち、一般にサケと呼ばれているのは"シロザケ"です。
川でふ化したサケは海に出て、繁殖のために約4年で生まれた川に戻ってきます。
ところが、産業の発展に伴って水利用に対する需要が増加してダムや堰堤が作られ、昔と比べてサケが遡上しにくい河川環境になっています。

このふ化場では、捕獲したサケを人工授精でふ化させ、飼育したあと川に放流することで、サケを守り育てていくために、人間がサケの繁殖を手助けしています。

捕獲したサケは、間近でみるとかなり迫力があります。
水しぶきも豪快で、動きも堂々たるものです。
背中が白くなっているのは水カビ病です。海水中では塩分による殺菌作用で発生しませんが、淡水に入ると水カビが発生し、サケは体力を奪われてしまうそうです。

遡上を始めると”南部鼻曲がり”に代表されるように、オスは鼻が曲がって鋭い顔つきになります。違いがわかりますか?


大変な手間と時間を掛けて、サケを守っていることがわかりますね。